KPI・予実ダッシュボード
位置づけ: 後続フェーズ
KPI・予実ダッシュボードは、現行 Excel「営業成績ステータス(完工ベース)」で行われている予算・実績管理を CRM に置き換える機能である。営業マン・部署・事業部の3軸で予算と実績を横並びに表示し、差異・達成率を自動算出したうえで、等級表マスタと連動してインセンティブ額まで機械的に算出する。
根拠資料は BT社「現状の予算・実績管理方法の概要」、VE社「バリュー評価制度」、および現行Excelの構造分析である。売上計上・賞与計算の業務ルールは VE社「バリュー評価制度」に定義される制度をそのまま踏襲する。試作(React+TS)で画面イメージとデータモデル案の検証を実施し、本ページはその結果を確定仕様として記述する。
スコープ/対象
Section titled “スコープ/対象”第1弾リリース(催事+アイテム+商社)の範囲外であり、後続フェーズで実装する。対象は次の3領域である。
| 領域 | 内容 |
|---|---|
| 予実管理 | 営業マン/部署/事業部 × 月次・四半期の予算・実績・差異・達成率、および未入金額・業務アラートの集計と表示(未入金額は商社(卸)の発注/請求/入金エンティティ化に依存。フェーズ区分 参照) |
| インセンティブ自動算出 | 等級表マスタと超過粗利からインセンティブ額を自動計算し、支払予定額を集計 |
| 目標設定 | 管理者による期初の四半期・月次目標の登録と、期中改定の履歴管理 |
日次・週次粒度への対応、経費配賦を含む営業利益の完全自動化、AIによる予実サマリ生成、マルチテナント予実は本フェーズの対象外とする。範囲外事項の位置づけは フェーズ区分 を参照。
データ(エンティティ表)
Section titled “データ(エンティティ表)”現状の本番DBには予算・評価(等級)・ダッシュボード設定のテーブルが存在せず、予実管理・インセンティブ可視化は未実装である(実コード・DBダンプで確認済みの事実)。一方、実績側の素材(contracts の金額・完工日、operation_reports の稼働、es_reports の催事実績)は揃っており、BT社「現状の予算・実績管理方法の概要」の集計ロジックは再利用可能な資産である。不足は「予算」「等級マスタ」「設定」の3領域であり、新規テーブルの追加と現行Excel(Q目標設定・等級表)からの初期取込で補う。
| エンティティ | 主なフィールド | 概要 |
|---|---|---|
| 営業マンマスタ拡張 | 氏名・所属(部署/事業部)・役割・インセンティブ等級(改定履歴つき) | 既存の営業マンマスタにインセンティブ等級と履歴を追加する |
| 予算テーブル | 対象(営業マン/部署/事業部)・期間(月次/四半期)・目標売上・目標粗利・目標営業利益 | 変更履歴を保持し、期中改定を追跡する |
| 実績テーブル | 受注日・完工日・売上・名目/実質減価・粗利 | 契約・完工登録から自動生成し、手動補正は履歴つきで記録する |
| 等級表マスタ | 等級・反映率・適用期間 | 見積・価格表 の SalesPrice と同型の「反映日 → 現在値導出」パターンで版管理する |
| ダッシュボード設定 | 既定表示期間・既定表示指標 | 利用者ごとの個人設定 |
マスタ系画面(営業マンマスタ拡張・等級表マスタ)は既存の定型(MasterScreen:テーブル+ドロワー+履歴、サイドバー「マスタ」集約)に統合する。
再現対象 — 現行Excelの構造とCRM対応
Section titled “再現対象 — 現行Excelの構造とCRM対応”現行Excelは営業マン個別シート・部署/事業部集計シート・目標設定シート・等級表シートの4層構造である。それぞれをCRMの対応先に割り当てる。
| Excel構成要素 | 内容 | CRMでの対応先 |
|---|---|---|
| 営業マン個別シート | 氏名・所属エリア+「マンスリー」M1/M2…の月次行 | 営業マン別ダッシュボード |
| M1/M2行の項目 | 売上・名目減価・名目粗利・実質減価・実質粗利・営業利益(税抜)・インセンティブ反映率・金額 | 月次指標セットとして踏襲 |
| 部署・事業部集計シート | 「【東京FS】全体」等でメンバー実績を合算 | 部署/事業部ダッシュボード |
| Q目標設定シート | 四半期・月次の売上/粗利/営業利益目標、生産性(1人あたり売上) | 予算(目標)設定画面 |
| 等級表シート | 業績等級 → インセンティブ反映率の対応 | 等級表マスタ |
画面群は視線の流れ(最初に見る → 次に比較する → 最後に行動する)に沿って構成する。
| 画面 | 主な役割 | 主な利用者 |
|---|---|---|
| 事業部ダッシュボード | 事業部全体のM1/M2予算・実績・達成率を俯瞰する。未達部署を先に目に入れる配置とする | 事業部責任者 |
| 部署ダッシュボード | 事業部からドリルダウンし、部署内メンバーの実績を比較する | 部署マネージャー |
| 営業マン別ダッシュボード | 個人のM1/M2予算・実績・差異・インセンティブ見込みを表示する | 営業マン本人・上長 |
| 目標設定(予算管理)画面 | 期初の四半期・月次目標を入力し、改定履歴を確認する | 管理者 |
| 等級表マスタ画面 | 等級 × 反映率の一覧・履歴を管理する(MasterScreen定型) | 管理者 |
集計軸は営業マン → 部署(営業課) → 事業部の3軸ロールアップとし、事業部全体から個人へ掘り下げるドリルダウンを基本動線とする。期間軸は月次(M1/M2…)を基本単位とし、四半期・年度累計を導出する。表示フォーマットは現場の慣れを維持するため、M1/M2月次行を横方向に「予算・実績・差異・達成率」で並べる現行Excel踏襲レイアウトとする。予算軸には役職者の最終予算(部下全員分の予算を合算した予算)を含め、役職者ビューで参照できるようにする。チャネル切り口(Deal.channel=訪問販売/催事/反響/パートナー)はBT社「現状の予算・実績管理方法の概要」の指標と整合させる。なお、後述のインセンティブ算定チャネル(PS/WMS/FS/ES、評価制度固有の呼称)はDeal.channelとは別の分類軸であり、対応関係は「インセンティブ自動算出(等級表連動)」の節を参照する。絞り込みは期間・部署・事業部・チャネルの複合フィルタとし、現行Excelのシート切り替えを同一画面上のフィルタUIに統合する。
各画面は「予算・実績・差異・達成率」を主役に据え、インセンティブ額は結果指標として画面下部・詳細ドロワーに配置する。色は状態色(達成/未達)を独立させ、ブランド色や操作色と混同しない設計とする。画面の見せ方は数パターンを試作し、先方と比較したうえで選定する進め方を踏襲する。
指標定義(予算・実績・差異・達成率)
Section titled “指標定義(予算・実績・差異・達成率)”| 指標 | 定義 | 算出基準・データ源 |
|---|---|---|
| 売上 | 完工日基準・税抜・入金確認済み案件のみ計上(評価制度の共通ルール準拠) | contracts の金額+完工日 |
| 名目粗利/実質粗利 | 売上 − 名目減価/実質減価。Excel項目をそのまま踏襲する | 減価内訳の粒度は確認事項を参照 |
| 営業利益(税抜) | 粗利 − 経費配賦 | 経費データは現状DBに存在せず、システム化範囲は確認事項を参照 |
| 差異・達成率 | 実績 − 予算/実績 ÷ 予算 | 予算テーブル×実績テーブルから全軸・全期間で共通計算する |
| インセンティブ反映率・金額 | 等級表参照 × 超過粗利で自動算出する(詳細は次節) | 等級表マスタ連動 |
| 生産性(1人あたり売上) | 事業部集計での表示指標 | 分母(人員数)の定義は確認事項を参照 |
売上計上は VE社「バリュー評価制度」に定義される「税抜計算の原則」「完工基準の適用」「締め日と入金確認」の3ルールに準拠する。締め日は算定期間最終月の翌月末日までであり、完工証明書類に不備がなく入金確認が取れた案件のみを計上する。
インセンティブ自動算出(等級表連動)
Section titled “インセンティブ自動算出(等級表連動)”基本式は 超過粗利 × 職位別反映率 = インセンティブ額 である。等級表(業績等級表)をマスタ化し、営業マンの等級から反映率を自動参照する。予算・反映率の算式は、PS/WMS/FS/ESの4区分(VE社「バリュー評価制度」に定義される評価制度固有のインセンティブ算定チャネル)ごとに異なる。この4区分はインセンティブ算定専用の呼称であり、Deal.channel(訪問販売/催事/反響/パートナーの4値)とは別の分類軸である。対応関係は次のとおり。
| インセンティブ算定チャネル(評価制度) | 対応するDeal.channel |
|---|---|
| PS(代理店販売) | パートナー |
| WMS(反響販売) | 反響 |
| FS(訪問販売) | 訪問販売 |
| ES(催事販売) | 催事 |
| インセンティブ算定チャネル | 予算 | 反映率 |
|---|---|---|
| PS(代理店販売) | 課全体の予算超過粗利額に対して発生 | 10%を該当人員数で分配 |
| WMS(反響販売) | 個人の予算超過粗利額に対して発生 | 15% |
| FS(訪問販売) | 予算達成率・育成数重視の係数ロジック | 係数はチャネル別算式の初期実装範囲に依存する |
| ES(催事販売) | 予算・レーン稼働・生産性の係数ロジック | 係数はチャネル別算式の初期実装範囲に依存する |
営業マンマスタにインセンティブ等級を保持し、等級改定は反映日つき履歴で管理する(見積・価格表 のSalesPrice方式と同型の「反映日 → 現在値導出」パターン)。役職者は自分の予算に部下全員分の予算を加算し、超過粗利に職位別反映率を課す「役職者の最終予算」(部下全員分の賞与額 × 118%)を予算軸に含める(FS/ES 係長以上が対象)。予算改定(クレーム費用の予算追加、未達時の賞与繰越、経費超過の繰越)は、初期は手動フラグと履歴の記録で運用し、自動計算は将来フェーズで対応する。管理者ビューには部署全体のインセンティブ支払予定額の集計を表示する。
評価サイクルとの整合
Section titled “評価サイクルとの整合”インセンティブ自動算出は、VE社「バリュー評価制度」に定義される職位評価サイクル(年3回)と同期させる。CRM側の締め処理・確定フラグ設計は、この査定サイクルを前提とする。
| 期 | 算定期間 | 査定・確定 | 賞与反映 |
|---|---|---|---|
| 第1期 | 4月〜7月 | 8月中 | 9月給与 |
| 第2期 | 8月〜11月 | 12月中 | 1月給与 |
| 第3期 | 12月〜3月 | 4月中 | 5月給与 |
職位評価(個人の実力・パフォーマンス、定量100%)は4ヶ月ごとの査定で賞与に反映する。役職評価(組織運営責任、定量100%)は年1回・毎年4月に固定給改定・昇降格へ反映する。二軸を混同せず、ダッシュボード上でも表示欄を分ける。各期は「M4:期末30日」を区切りに査定するため、月次ダッシュボードの実績値は算定期間中は暫定値として表示し、査定確定後に確定値表示へ切り替える。予算未達でも賞与が発生している場合の翌タームへの繰越処理(予算改定)は、当面はダッシュボード上の手動フラグと履歴で表現し、自動計算は将来フェーズで対応する。
業務ルール/ワークフロー
Section titled “業務ルール/ワークフロー”- 予算入力:管理者が期初に四半期・月次目標を登録する。期中変更は履歴を残して改定する。
- 実績反映:商談・契約・完工登録と連携して自動反映する。手動補正は編集履歴を必須とする。
- 締め処理:締め日(算定期間最終月の翌月末)・入金確認を経て確定値をロックする確定フラグを、案件・期間の組で保持する。
- Excel・等級表からの初期取込:現行Excel(Q目標設定・等級表シート)の内容を初期データとして取り込む。取込フォーマットと遡及移行期間は確認事項を参照。移行タイミングはデータ移行全体方針に従う(移行計画 参照)。
- 通知連携:達成率アラート等のチャット通知は将来フェーズで対応する(チャット・コラボレーション 参照)。
営業マンは自分の数字のみを閲覧し、管理者は部署・事業部を横断して閲覧する。権限設計の詳細は 権限設計(第1弾) の枠組みに従う。
ValueOSとの対応
Section titled “ValueOSとの対応”ValueOSの経営ダッシュボード(Ver1.0集計基準)は、売上を期間内の顧客受注日 cases.order_received_date を持つ有効案件の case_products.sales_price 合計、実粗利を gross_profit 合計、粗利率を実粗利÷売上、未入金額を summarizeInvoicePayments().unpaidAmount(期間非連動)として算出し、キャンセル案件は集計から除外する(lib/status/activeRecords.ts)。本ダッシュボードは、このうち「有効案件限定・キャンセル除外」の判定ロジックのみValueOSと同一とし、売上の起点は受注日基準を踏襲せず、完工日基準(前掲「指標定義(予算・実績・差異・達成率)」参照)を用いる。
Dealのchannel(訪問販売/催事/反響/パートナーの4値)およびインセンティブ算定チャネル(PS/WMS/FS/ES、評価制度固有の呼称)は、いずれもValueOSの決済区分 case_settlements.settlement_type(前金/掛売/三社間/カード)とは別軸であり、混同しない。チャネル(Deal.channel/インセンティブ算定チャネル)は案件の販売経路・算定区分を表し、決済区分は代金回収方法を表す。
| 観点 | 当方 | ValueOS |
|---|---|---|
| 売上集計の起点 | 完工日基準・税抜・入金確認済み | 顧客受注日 cases.order_received_date 基準 |
| 有効案件の判定 | キャンセル除外 | lib/status/activeRecords.ts によるキャンセル除外 |
| 未収管理 | KPI予実の対象領域(未入金額・業務アラートの集計。商社(卸)の発注/請求/入金エンティティ化に依存し、実体は卸金額 のWPayment集計を参照) | summarizeInvoicePayments().unpaidAmount(期間非連動) |
| 予算・等級マスタ | 本ページで新設する領域 | 対応するテーブルなし |
売上計上時点の基準(当方=完工日、ValueOS=受注日)が異なる点は、両システムを将来統合する際の調整対象である。差分の全体像は ValueOS差分・項目突合 を参照。
- 部署別予算発生表の月次配分方法(案件単位で計上するか、月次比例配分にするか)
- 日次・週次粒度、および勤怠(稼働時間)連携によるKPI指標のフル再現の対応要否
- 名目減価/実質減価の内訳定義の粒度
- 営業利益算出に用いる経費配賦ルールのシステム化範囲(経費データが現状DBに存在しない)
- 生産性指標(1人あたり売上)の分母(人員数)の定義
- チャネル別算式差分(PS=課全体予算の分配、WMS=個人予算超過分、FS/ES=係数ロジック)の初期実装範囲
- 等級表マスタにおけるチャネル別係数の持ち方
- 役職者の最終予算の算出式:根拠資料内で「自分の予算に部下全員分の予算を加算する」という説明文と「部下全員分の賞与額 × 118%」という数式が併記されており、両者が一致しない。どちらを正とするかの確認が必要
- Excelからの取込フォーマットと遡及移行期間(過去何期分を移行するか)
- グラフ描画ライブラリ(Chart.js/Recharts等)の選定
上記は 未確定事項一覧 にも横断的に整理する。